円形脱毛症-突然はげができました-大和クリニック-木更津市の皮膚科
円形脱毛症とはどういうものですか?
後天性に類円形のはんこんとなることがない脱毛班(はげ)ができる病気です。違和感などを生じることもありますが、普通は突然出現します。
円形脱毛症の原因は何ですか?
自己免疫疾患の一つと考えられています。
免疫系が体の一部を異物と間違えて攻撃することで発症します。円形脱毛症になると、免疫系が毛包(髪が生えるところ)や、時には爪を誤って攻撃します。
この症状は人から人へと広がることはありません。近親者に罹患者がいる場合は罹患のリスクが高くなります。
自己免疫疾患が併存することがあります。自己免疫性甲状腺疾患、尋常性白斑、乾癬、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、1型糖尿病、重症筋無力症など。
喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎などにかかっている場合、円形脱毛症になるリスクが高まることが研究で示されています。
ダウン症患者では合併率が高いとの報告があります。
ニボルマブ誘発性円形脱毛症:ニボルマブと呼ばれる抗がん剤でがん治療を受けた人の1%~2%が円形脱毛症または汎発性脱毛症(すべての毛髪が脱毛する)を発症します。
円形脱毛症はどこに出来ますか?
頭髪、まゆげ、まつげ、陰毛、四肢の毛、脱毛は体のどこにでも起こる可能性があります。
円形脱毛症はいくつ出来ますか?
抜ける部分が一カ所だけのこともあれば、たくさん抜けることもあります。頭部の脱毛が25%以上のものは重症とされています。
円形脱毛症はどういう人に起こりますか?
通常、子供や若年成人から始まりますが、どの年齢でも始まる可能性があります。性差はありません。生涯罹患率は2.1%との報告があります。円形脱毛症はまた、小児の脱毛の最も一般的なタイプです。特に子供は、治療をしなくても発毛します。米国ではおよそ680万人、世界では1億4700万人が円形脱毛症にかかっています。
円形脱毛症の診断はどうしますか?
境界明瞭な脱毛班があること。過去にも脱毛を経験していること。自己免疫疾患やアレルギー素因があること。周囲の毛の根元が細いことなどを参考にします。
脱毛周囲の毛を引っ張り容易に抜けること。正確には50~60本の毛を指で繰り返し引っ張り、平均2本以上の毛が抜けるとき(牽引試験)
ダーモスコピー(活動期には感嘆符毛,漸減毛,黒点を認めます。慢性期では黄色点が中心です)、トリコスコピー(抜けた毛を顕微鏡で観察し感嘆符毛、漸減毛、断裂毛などがあります)、病理組織検査なども行うこともあります。
円形脱毛症の経過はどういうものですか?
多いのは、髪が抜けては再生し、また抜けるというケースです。発毛後に髪が抜けることを再発といいます。多くの人は発毛後1年以内に再発し、ほとんどの再発は5年以内に起こります。二度と脱毛が起こらない人もいます。このような脱毛と発毛のエピソードは、人の一生を通じて起こる可能性があります。発毛の程度は人によって異なります。完全に発毛する人もいます。また発毛しない人もいます。毛髪が再生し始めると、白髪になったり、以前より細くなることがあります。時間の経過とともに自然な色に戻るかもしれません。
治療を受ければ、6週間である程度の発毛を見ることができる人もいます。しかし、完全な発毛には数ヶ月かかります。
脱毛の範囲が狭い、発症年齢が遅い、爪の変化がない、家族歴がないような人では、毛髪が完全に再生する傾向があります。
円形脱毛症の脱毛以外の変化は何かありますか?
脱毛が間もなく始まる、あるいはすでに始まっている場所のかゆみ、ヒリヒリ感、灼熱感、浮腫性の淡い紅斑などがある場合もあります。
まつ毛やまゆ毛が抜けた場合に目の炎症が起こる場合もあります。
爪の変化:爪に小さなへこみができたり、薄くなったり、割れたり、白い斑点ができたりします。特に脱毛が広範囲に及んでいる人にみられる傾向があります。
うつ症状を合併することがあります。円形脱毛症は、後にうつ病を発症するリスクがあります。一方で、うつ病も後の円形脱毛症の有意なリスク因子です。
円形脱毛症の治療はどうしますか?
確定された治療法がないため、いろいろな治療法が提案されています。
例えば、コルチコステロイドを塗布して発毛させ、その後ミノキシジル(頭皮、ひげの部分、眉毛に効果があります)を塗布して発毛した毛髪を維持する方法もあります。ミノキシジルはプラセボと比べて、有意な脱毛範囲の縮小を示す根拠はありますが、その程度は弱いとされます。広範囲の脱毛の場合には無効であるとガイドラインには記載されています。
ステロイド外用療法:アンテベートローション、トプシムローション、デルモベートクリームなど
ステロイド局所注射:ケナコルト-A水懸注皮内用など
カルプロニウム塩化物水和物外用:フロジン外用液
セファランチン錠、グリチロン配合錠
局所免疫療法
経静脈ステロイドパルス療法
JAK阻害薬オルミエント:このタイプの薬は、過剰に反応する免疫系を鎮め、発毛を可能にする可能性があります。
光線療法
ビマトプロスト: 緑内障の一種と高眼圧の治療薬として承認されています。米国食品医薬品局(FDA)は、まつ毛を長く伸ばす薬としても承認しています。
かつらなど抜け毛を隠す方法もあります。隠すのではなく、剃ることで、斑状または拡散した外観を取り除くことを好む人もいます。