精巣炎て何ですか？

精巣炎は、通常ウイルスや細菌によって引き起こされる片側性または両側性の精巣の炎症として定義されます。精巣炎は精巣の炎症であり、通常は片側性です。 おたふく風邪や精巣上体炎などの他の病気は精巣炎を伴うことが多く、単独の精巣炎はまれです。

精巣炎はどのようにして起こりますか？

精巣炎は、体の他の場所から血液を介してウイルス、細菌が広がることで発生することがあります。 また、精巣から精液を運ぶ管の感染症である精巣上体炎が進行して起こることもあります。 これは精巣上体精巣炎と呼ばれます。前立腺や尿道から精管を通って細菌が精巣炎を起こすのが一般的です。外傷も精巣炎の原因となります。リケッチア症や真菌症が精巣炎を起こすことはまれです。

若い人の精巣炎は通常ウイルス性であり、おたふく風邪と風疹が最も一般的な原因です。 麻疹、おたふく風邪、風疹 (MMR) ワクチン接種後の精巣炎の症例が報告されています。
他のウイルスには、コクサッキーウイルス、水痘ウイルス、エコーウイルス、サイトメガロウイルスなどがあります。
前立腺の細菌感染症や尿路感染症は、精巣炎を引き起こす可能性があります。 細菌性精巣炎の一般的な原因には、大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌、ブドウ球菌および連鎖球菌種が含まれます。結核のこともあります。
性感染症を引き起こす可能性のある細菌も、精巣炎を引き起こす可能性があります。 淋菌、クラミジア・トラコマティス、梅毒トレポネーマなどです。

精巣炎を起こす流行性耳下腺炎（おたふく風邪）はどのような病気ですか？

流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスの感染によって起こる全身性の伝染性疾患です。2~3週間の潜伏期をへて耳下腺以外にも脳炎、髄膜炎、乳腺炎、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合があります。唾液腺腫脹は両側、あるいは片側の耳下腺にみられることがほとんどですが、顎下腺、舌下腺にも起こることがあります。 接触、あるいは飛沫感染で伝搬し、その感染力はかなり強いです。
精巣炎は耳下腺腫脹から4～8日後に発症します。10才以下はまれで、思春期以降は14～35％に合併すると言われています。ただ約30％の人は、耳下腺炎の合併がないので、注意が必要です。片側性がおおいです。10～30％が両側性です。85％に精巣上体炎が合併します。約30～50％に患側の精巣萎縮が起こります。片側性では10％程に、両側性では30％以上に不妊に移行する可能性があります。

精巣炎はどういう症状がありますか？

陰嚢の腫脹、発赤、熱感、疼痛、圧痛、発熱、悪心・嘔吐、頭痛、全身倦怠感などを認めることがあります。

精巣炎の診断はどうしますか？

通常、病歴と身体所見から行われます。

精巣炎の検査はどうしますか？

臨床検査は一般に役に立ちませんが、尿路感染症を除外し、性感染症が原因であると診断するために、尿道分泌物検査や検尿、培養などをすることがあります。おたふく風邪では尿沈渣が白血球が軽度、CRPの上昇と比較して白血球が正常または軽度上昇のみであることが、細菌性との鑑別点となります。
ムンプスウイルス抗体をIgM、IgG血清抗体価を調べます。EIA 法にて急性期にIgM 抗体を検出するか、ペア血清でIgG 抗体価の有意な上昇にて診断されます。
超音波検査を施行します（精巣捻転などとの鑑別に有用です）。

精巣炎の治療はどうしますか？

ムンプスウイルス感染から来ている精巣炎

抗ウイルス薬は開発されていないため、対症療法です。局所の安静、冷やしたりします。解熱鎮痛剤を使用することもあります。

細菌性精巣炎

原因菌に応じて抗生剤、鎮痛剤などを使用します。

精巣炎の合併症は何ですか？

精巣萎縮、生殖能力の低下（おたふく風邪の精巣炎の結果として無精子症が発生しても、必ずしも精巣内に精子が完全に存在しないわけではありません。 精巣生検では、時折精子が得られることがよくあります）、精巣上体炎、陰嚢水腫、精巣梗塞などがあります。

精巣炎に似ている病気は何ですか？

精巣捻転、精巣上体炎、陰嚢水腫など陰嚢が腫れる病気です。

精巣炎の経過はどうなりますか？

おたふく風邪の場合

通常1～2週間で軽快します。片側になって、また他側になる場合もあります（全症例の30％で1～9日以内に対側の精巣に伝播します）。

精巣上体炎からきた精巣炎

2週間から3週間の抗菌剤などを投与が必要です。

おたふく風邪の場合、学校への出席はどうなりますか？

耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止とされています。ただし、病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときは、この限りではありません。

TEL：0438-25-2515