混濁尿(尿がにごっている)-大和クリニック-木更津市の泌尿器科

尿がにごっている時、原因は何でしょうか?

1)膿尿(のうにょう)

尿中に白血球が混入した状態です。尿路、生殖器感染があることが多いです。

尿路結核では、単染色で菌を認めない無菌性膿尿になります。その他無菌性膿尿の原因として、間質性腎炎、結石、異物、腫瘍、薬剤、ウイルス感染症、クラミジア感染症、間質性膀胱炎などがあります。

2)細菌尿(さいきんにょう)

細菌尿は尿の定量培養で得られたコロニー数(colony-forming units:cfu)で定義されます。細菌尿は>10^4cfu/mLが基準として用いられています。膿尿を伴わない細菌尿は無症候性細菌尿と呼ばれ、若い健康な女性では1~5%ですが、高齢女性では20~50%、高齢男性では15~40%あります。これは尿路感染症を示唆する所見ではありません。

*無症候性細菌尿:何の症状も認められないにもかかわらず、正常時にはみられない数の細菌が尿中に認められる状態です。

3)塩類尿(えんるいにょう)

尿中の塩類が析出し、結晶となり混濁した状態です。塩類排泄量の増加、温度変化、尿ph変化などで起こります。

4)乳糜尿(にゅうびにょう)

白濁したミルクのような尿をみたら乳糜尿を考えます。乳糜槽周囲のリンパ系の閉塞によりリンパ液が尿路に混入した状態です。フィラリア症やその他の寄生虫、尿路の病変、後腹膜腫瘍、外傷、手術、リンパ管腫、大動脈瘤、結核などにより乳糜槽の圧迫、閉塞により起こります。高脂肪食の摂取により増悪する傾向があります。

フィラリア症とはフィラリアという寄生蠕虫(ぜんちゅう)を病原体とし、蚊に媒介されて人に感染する病気です。日本では九州、沖縄での生活歴がある人が多いです。

リンパ管シンチグラフィにてリンパ管と尿路に何らかの交通がないか検査します。

治療は安静、高脂肪食の摂取制限などの生活指導を行います。効果がない場合、内視鏡的凝固術も考慮されます。

5)糞尿(ふんにょう)

便が尿に混じるものです。通常気泡とともに便が混じます。糞臭がします。結腸癌などによる膀胱浸潤、結腸憩室炎やクローン病による膀胱への穿孔、手術操作による穿孔などが原因です。

6)精液尿(せいえきにょう)

逆行性射精により尿中に精液が混じるものです。

*逆行性射精とは、精液が陰茎から放出されず、逆方向の膀胱に流れ込んでしまう状態です。前立腺肥大症の術後、その他の手術後、糖尿病、脊髄損傷、一部の薬などで起こります。

*薬では前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療に用いられるシロドシン(ユリーフ)などで起こります。

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