残尿 または 残尿感 (おしっこをしてもまだ残っている感じ)-大和クリニック-木更津市の泌尿器科
残尿感 とはどういうものですか?
残尿感は排尿後もまだ尿が膀胱に残っているように感じる状態です。
実際に尿が残っていることも、尿が残っていないのに残尿感を感じることもあります。
残尿があっても残尿感のない人もいます。
残尿 の有無はどのようにして分かりますか?
排尿後の残尿の有無は、自発的な排尿の直後に膀胱に残っている尿を測定することによって行われます。
排尿した後、残尿量の測定までわずか 10 分の遅延があると、排尿後残尿量の臨床的に重大な過大評価を引き起こす可能性があります。
排尿後の残尿の評価は、通常、超音波検査(ポータブル膀胱超音波装置をふくむ)または尿道カテーテルを使用して行われます。
排尿後の尿道カテーテル検査は、排尿後の残尿と尿検体の両方が分かります。感染を防ぎ、汚染されていない尿検体を得るために、尿道カテーテル法は無菌的に行う必要があります。感染が残尿の一因であるときは、検尿は診断に役立ちます。ただ痛みを伴うかも知れません。尿道外傷や尿路感染のリスクがあります。
超音波検査は残尿の測定以外に、膀胱壁の厚さ、膀胱内血腫、前立腺肥大症、膀胱癌その他の情報を併せて得ることが出来ます。排尿前と排尿後での検査で比較できます。
超音波検査で排尿後の残尿を評価する際の尿閉の偽陽性率 9% は、卵巣嚢胞、腎嚢胞、腹水、嚢胞性変性を伴う子宮筋腫が原因である可能性があります。つまり超音波検査で残尿と思っていたものが、本当は尿ではなく卵巣囊胞の液体で、膀胱はぺしゃんこだったと言うようなことになります。
残尿 はどの程度たまっていると病的ですか?
成人では50ml未満は正常と言われています。高齢者では50ml~100mlは正常と言われています。100mlを超えるものは無視できない量の残尿と言われています。過活動膀胱のガイドラインで、残尿が100ml以上ある場合には抗コリン剤の使用は控えたほうが良いとされています。海外では200mL を超える 残尿は、排出が不十分であることを示すとされています。
残尿 があると何か悪さをしますか?
残尿の程度によって変化すると思いますが、感染が起きやすくなる、膀胱機能障害、腎機能障害、下部尿路症状が起きやすくなるかもしれません。
残尿 または 残尿感 を引き起こす病気は何ですか?
1)神経原性による排尿障害
神経因性膀胱(中枢・末梢神経障害による下部尿路機能障害:脳血管障害、脊髄損傷、椎間板ヘルニア、外傷などによる脳、脊髄などの損傷、子宮癌や大腸癌の術後、悪性腫瘍、多発性硬化症、パーキンソン病、ビタミンB12欠乏症、帯状疱疹など)による膀胱収縮障害
2)尿路の機械的閉塞による尿路通過障害
尿道および陰茎の疾患(例:尿道狭窄、包茎、尿道の損傷、尿道癌など)
膀胱の疾患(膀胱癌、膀胱結石、膀胱瘤など)
前立腺の疾患(前立腺肥大症、前立腺癌など)
尿管の疾患(尿管結石、尿管腫瘍など)
骨盤臓器脱(骨盤底筋群のゆるみによる膀胱脱、子宮脱、直腸脱など)
3)感染または炎症性
膀胱炎、急性前立腺炎、慢性前立腺炎(感染症以外のものも)、外陰膣炎、間質性膀胱炎
4)その他
大きな膀胱憩室、膀胱尿管逆流症、後部尿道弁、過活動膀胱など
5)薬剤
抗コリン剤、抗ヒスタミン剤、三環系抗うつ薬など。
残尿 が多い人はどのような方ですか?
高齢者では高頻度に残尿を認めます。
残尿が100mlを超えると尿路感染症のリスクとなり得ます。
500mlを超えると水腎症、腎後性腎不全のリスクとなります。
残尿 または 残尿感 があるときどのように対応しますか?
問診で排尿障害、排尿時痛などについて聞きます。体温をはかります。
採血、検尿などを行います。
超音波検査、尿流測定、CT、MRIなどを行います。
残尿 または 残尿感 の治療はどのようにしますか?
それぞれの根底にある病気についての治療を行います。