切迫性尿失禁 (トイレまで我慢できない)とは?-大和クリニック-木更津市の泌尿器科
- 切迫性尿失禁とはどういうものですか?
- 切迫性尿失禁の原因は何ですか?
- 切迫性尿失禁の治療はどのようなものがありますか?
- 過活動膀胱は切迫性尿失禁を合併しやすいです
切迫性尿失禁とはどういうものですか?
急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまう尿失禁です。
水の音を聞いただけで、冷水で手を洗っただけの刺激で我慢できなくなることもあります。
切迫性尿失禁の原因は何ですか?
1)大脳の排尿反射抑制路の障害:脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、パーキンソン症候群、脊髄損傷、多発性硬化症など
2)膀胱の過剰な知覚刺激により生じる:急性膀胱炎、膀胱癌、骨盤臓器脱など
切迫性尿失禁の治療はどのようなものがありますか?
1)膀胱訓練:なるべく尿意を我慢し、何度目か尿意が落ちついた所で急がず、我慢しながらトイレに行くようにします。毎日繰り返すと膀胱に少しずつ溜められるようになってゆきます。
2)骨盤底筋体操
尿失禁診療ガイドラインには次の記載があります。
骨盤底筋訓練は女性の腹圧性尿失禁に効果があることが知られているが、尿意切迫感や切迫性尿失禁の頻度を減じる可能性もある。(証拠の強度 : B)
実際の方法は
- 仰向けに寝て脚を少し開き、膝を立てます。 膝の間はこぶしをひとつ分くらい開け、体の力をぬきます。
- 肛門を閉めながら膣と尿道も10秒くらいぎゅーっと締め、その後、30秒くらいリラックスします。 息を吐きながら、肛門と膣を胃の方向に引き込むように締めるとやりやすいとされています。 これを10回繰り返しましょう。
- 次に、同じように肛門、膣、尿道を閉める動作をもっと早いテンポで行い、この「キュッ(締める)、パッ(緩める)」を1セットとして、10回繰り返します。 慣れてきたらだんだんと回数を増やすとよいでしょう。
- 1~3を1日数回に分けて5セット以上行います。
3)β3受容体作動薬:蓄尿時の膀胱拡張機能を促進し、尿意切迫感も抑制します。
ミラベグロン (ベタニス ):副作用として脈拍数の増加, 血圧の変動等の心血管系に対する影響
ビベグロン (ベオーバ): 類薬ミラベグロンと比較して, 「生殖可能な年齢の患者には投与をできる限り避ける」 という注意喚起 (警告) がないことやが心血管系に対する影響及び薬物相互作用が少なく, 併用禁忌薬がないといった特徴があります
4)抗コリン剤:膀胱排尿筋の不随意な収縮の抑制、膀胱容量の増大により頻尿・切迫性尿失禁を改善します。
ポラキス、バップフォー、デトルシトール、ベシケア、ウリトス、ステーブラ、トビエース、ネオキシテープ(貼付剤)など
副作用 (口内乾燥, 霧視, 便秘、認知症に対する影響など)
過活動膀胱は切迫性尿失禁を合併しやすいです
過活動膀胱をお持ちの方の場合、半数以上が実際に間に合わないでもらす、切迫性尿失禁を合併していると言われています。女性の方が男性より比率が高いです。80%~90%の女性の方が切迫性尿失禁を経験されているそうです。
咳、くしゃみ、急に立ち上がった時、ジャンプした時、重い荷物を持ってぐっと持ち上げようとした時など腹圧がかかる動作の時に、少量の尿が漏れる状態を腹圧性尿失禁といいます。尿が漏れるときは、切迫性か腹圧性かまたは両方の要素がある(混合性尿失禁)か考えなくては行けません。