膀胱結石(ぼうこうけっせき)-大和クリニック-木更津市の泌尿器科
Bさんは、おじいさんがオシッコが出ないとのことで、クリニックに連れて行きました。膀胱が埋まるほどの大きな結石が見つかりました。最近はこのような大きな膀胱結石は珍しいと言われました。
膀胱結石とはどういうものですか?
尿(オシッコ)は腎臓で作られ、腎盂、尿管を通って、オシッコを貯める膀胱に到達します。膀胱結石は、膀胱内(オシッコを貯める場所)に存在する結石です。石灰化していることが多いですが、非石灰化物質で構成されている場合もあります。膀胱結石は尿路結石全体の約 5% です。
膀胱結石の原因は何ですか?
膀胱結石は通常、前立腺肥大症や神経因性膀胱、尿道狭窄、膀胱憩室、膀胱瘤などによる尿の停滞によって発生します。異物(尿道カテーテル、手術の縫合糸狭窄、自慰目的で挿入したもの)などを核として生じることもあります。尿路感染症があると増大しやすくなります。放射線性膀胱炎の方も膀胱結石を生じやすくなります。ただ健康な人にも形成されることがあります。上部尿路結石の存在は必ずしも膀胱結石の形成の素因となるわけではありません。腎臓に由来する結石は、尿管を通過できるほど小さいため、尿道の内径が尿管の内径よりかなり大きいため重大な膀胱機能障害や出口閉塞がない限り、ふつうは尿道を通過できます。通過障害があると、排出できにくいため、膀胱内で塩類の沈着が起こり、表面が平滑で上部尿路結石より大きくなる傾向があります。
成人の場合、膀胱結石は最も一般的な膀胱結石の成分は尿酸であり、症例の 50% 以上を占めます。その他リン酸マグネシウムアンモニウム(感染症に関連する場合)、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸アンモニウム、システインで構成されます。シュウ酸カルシウムで構成される結石は通常、腎臓から発生します。
尿酸結石の形成を促進する最も一般的な要因は、持続的な低い尿 pH、尿量の減少につながる脱水、および高い尿酸産生です。尿酸性膀胱結石の方には痛風や高尿酸血症の病歴はほとんどありません。
小児の場合、結石は主に酸性尿酸アンモニウム、シュウ酸カルシウム、または酸性尿酸アンモニウムとシュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムの混合物で構成されています。
膀胱結石を起こりやすい人は誰ですか?
膀胱結石は男性に多く見られ、男性:女性の比率は10:1から4:1の間であると報告されています。子供でも男児の方が多いです。最も起こりやすい地域は、中東と北アフリカの国々、タイ、インドネシア、ミャンマーです。欧米での発生率は比較的少ないです。年齢分布には 2 つのピークがあり、1 つ目は発展途上国の子どもの 3 歳で、2 つ目は 60 歳です。
膀胱結石の症状はどういうものですか?
無症状の方も多いです。
恥骨上の痛み、陰茎の痛み、陰嚢の痛み、会陰の痛みなどや、頻尿、排尿痛、残尿感、血尿など膀胱炎の症状が出ます。
結石が膀胱の出口をふさぐと、突然、排尿困難(オシッコがでにくい)、尿閉、尿線途絶(オシッコが途中でとぎれる)などが起こります。
子供の場合、夜尿症につながるかもしれません。また何時間も続く痛みを伴う持続性勃起(持続性勃起症)を経験する人もいるとのことです。
膀胱結石の診断はどうしますか?
臨床症状だけでは、診断が困難なことが多いです。混濁尿、血尿、膿尿の検査に検尿、尿培養なども行われます。尿酸が主の膀胱結石のある成人は、pH が酸性であるかもしれません。石の組成と一致した結晶成分がでるかもしれません。X線、超音波検査、膀胱鏡検査(石灰化を伴う膀胱腫瘍は超音波検査で結石と区別出来ないため膀胱鏡検査で区別します)、CTなどが行われます。
繰り返すまたなかなか治らない尿路感染症の場合は膀胱結石を考慮します。長期間未治療の膀胱結石の存在は、扁平上皮癌と関連しています。
膀胱結石の治療はどうしますか?
結石を取り除く治療
膀胱砕石術:内視鏡的に砕石鉗子、レーザーまたは超音波・空気衝撃波砕石機などを用いて砕石、除去します。
膀胱切石術:経尿道的操作で摘除が困難な大きな結石などに対して行われます。
再発予防
前立腺肥大症、神経因性膀胱など排尿障害と尿路感染症に対しての治療を行います。
上部尿路結石からの結石と考えられる場合は、水分摂取、カルシウム摂取、クエン酸摂取、塩分、糖分を控える、シュウ酸を控える、プリン体を控える、動物性脂肪・たんぱく質を控えるなどを、結石の成分に応じて行います。