脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)-大和クリニック-木更津市の皮膚科

Sさんは頭のフケがひどくて、たまにかゆくなるそうです。無性にかゆくなるときもあります。髪におおわれた地肌が赤くなっていました。たまらずクリニックにかかり、脂漏性皮膚炎と診断されました。

脂漏性皮膚炎とはどういうものですか?

脂漏性皮膚炎は、主に頭皮、顔、まゆ毛、胸、背中、またなどの皮脂腺が豊富な部位に生じる皮膚炎です。

脂漏性皮膚炎の原因は何ですか?

病因は完全には解明されていません。ホルモンレベル、真菌感染症、栄養不足、神経因性因子など、いくつかの要因がこの状態に関連しているとされています。好脂性真菌のマラセチア酵母属の増殖が関与していると考えられています。

脂漏性皮膚炎はどのような人に起こりますか?

2つの年齢のグループに分類されます。

乳児は生後2週間から3ヶ月の間に発症します。1才頃までに自然に軽快します。

成人では男性ホルモンが活発となる思春期に始まる傾向があります。有病率は若者と高齢者で最も高くなります。女性よりも男性に多くみられます。

10代や成人が脂漏性皮膚炎を発症した場合、治療せずに治ることもあります。また、10代や成人の場合、症状が出たり消えたりしながら一生治らないこともあります。慢性、再発性となることが多いです。再燃は多くの場合季節性で、多くは冬から春先にかけて起こります。

脂漏性皮膚炎の症状はどういうものですか?

乳児では髪の毛がある頭部やひたい、まゆ毛、ほほに黄色い厚い痂皮(かさぶた)が付着します。

成人では髪の毛のある頭部、ひたい、まゆ毛、耳介後部、外耳道、口の周り、ひげなどに灰白色の細かいふけや黄色や茶色で脂っこいふけを伴う紅斑を生じます。へそ、会陰部、そけい部、肛門に頻度は低いですが起こることもあります。まつ毛の間に黄色っぽい鱗屑(ふけ)ができる人もいます。

かゆみはある場合とない場合があります。ある場合も軽度のことが多いです。頭皮では強くなることもあります。

脂漏性皮膚炎の診断はどうしますか?

視診で診断します。アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎の鑑別のため、血清IgEやパッチテストを行うこともあります。

脂漏性皮膚炎を起こしやすい病気はありますか?

HIV感染者やパーキンソン病を含む神経疾患(脳の運動を制御する能力に影響を及ぼす)のある人は、これらの疾患のない人に比べて脂漏性皮膚炎になるリスクが高くなります。乾癬や酒さに罹患している場合も、脂漏性皮膚炎を発症する可能性が高くなります。アルツハイマー型認知症、リンパ腫、うつ病などもリスクが高くなります。

処方薬を服用した後に、脂漏性皮膚炎を発症したり、脂漏性皮膚炎が悪化する人もいます。ドーパミン拮抗薬、免疫抑制剤、リチウム、ハロペリドール、グリセオフルビンなどがあります。

脂漏性皮膚炎の治療はどうしますか?

乳児では、オリーブ油、亜鉛華軟膏などで厚い痂皮を柔らかくした上で、刺激の少ない石けんで洗い流します。
症状が強い場合は、弱めのステロイド外用療法を行います。

成人の場合はケトコナゾール外用薬(長期使用に伴う副作用の発現率が少ないため)をベースに治療します。初期や症状悪化時にステロイド外用薬を使用します。プロトピック(カルシニューリン阻害薬)も効果がありますが、保険が使用できません。

脂漏性皮膚炎の生活上の注意点は何ですか?

頭皮のスキンケアに市販されている抗菌作用のあるミコナゾール含有のシャンプーやふけどめ効果の成分の入ったシャンプーを使用します。

定期的に洗顔、洗髪をします。その際病変部はこすらないようにしてください。

睡眠を十分取り、ストレスを避けてください。

脂漏性皮膚炎に似ている病気は何ですか?

尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、ジベルバラ色粃糠疹、酒さ、酒さ様皮膚炎、皮膚筋炎、頭部白癬などです。

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