おへその炎症を繰り返しています。 尿膜管遺残 -大和クリニック-木更津市の泌尿器科

尿膜管遺残(にょうまくかんいざん)とはどういうものですか?

膀胱から臍に至る尿膜由来の管状構造を尿膜管といいます。膀胱は胎生早期の老廃物を母体側へ排泄するため,臍帯と尿膜管でつながっています.通常は生後閉鎖しますが、一部あるいは完全に開存することがあり、尿膜管遺残と言います。開存している部位により4つの型に分類されます。完全に開存しているものは尿膜管開存、へそ周囲のみ開存しているものを尿膜管臍瘻(洞)にょうまくかんさいろう(どう)、膀胱頂部で開存しているものを尿膜管憩室(にょうまくかんけいしつ)、へそから膀胱の間で開存しているものを尿膜管囊胞(にょうまくかんのうほう)といいます。

おへその炎症を繰り返し起こすとき、何を考えますか?

尿膜管遺残と同様に、胎児の腸と臍帯(へその緒)は胎生早期の胎児への栄養供給のため,臍腸管でつなっています。,これが生後も残ってしてしまったものを臍腸管遺残(さいちょうかんいざん)といいます。臍の炎症を繰り返し起こすときは尿膜管遺残、臍腸管遺残を考えなくてはいけません。

尿膜管遺残 はどの年齢に起きますか?

小児と思春期から30才代の成人の二つのピークがあります。尿膜管遺残は、2 歳から 4 歳の子供によく見られます。約 1% の子供が尿膜管遺残を持って生まれると推定されています。女性より男性に多く見られる傾向があります。

尿膜管遺残 があるとどのような症状を起こしますか?

症状は部位により異なります。感染症や炎症が起きたときに以下の症状がでます。また程度により発熱も起こります。

尿膜管臍瘻(洞)では、臍炎、へその発赤、疼痛、膿の流出が起こります。へそが赤くポリープ状に腫れたりします。

尿膜管憩室では、膿尿や血尿、繰り返す膀胱炎、治りにくい膀胱炎があるときはこの病気を考えなくてはいけません。排尿痛や頻尿を伴わない血尿があるときは、膀胱頂部に発生する癌(腺癌)を疑わなくてはいけません。

尿膜管囊胞では、腹痛が多いです。有痛性腫瘤、発熱などです。

一般的に腹膜外の病変ですが、程度がひどいときは腹膜腔内に広がることもあります。

尿膜管遺残 はどのように診断しますか?

超音波検査(尿膜管遺残の感染と皮下感染を判別します)、MRI(矢状断)、CT(矢状断が構成できればより良いです)

膀胱頂部に腫瘤があり、石灰化がある場合尿膜管がんを疑います。

膀胱頂部の病変では膀胱鏡検査をします。がんが疑われた場合、生検を行います。

尿膜管遺残 はどのように治療しますか?

感染症の場合、細菌培養を行います。その後抗菌薬の投与を行います。

臍部の尿膜管洞や尿膜管囊胞に膿瘍が起きたときは、経皮的に切開排膿します。膀胱頂部の膿瘍の場合は経尿道的に内視鏡で切開排膿します。

症状が治りにくい、また再発例では外科的治療が必要です。

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