溢流性尿失禁 (タラタラとおしっこがあふれ出てくる)-大和クリニック-木更津市の泌尿器科

溢流性尿失禁とはどういうものですか?

排尿障害により、多量の残尿(300mlを超える—これ以上普通にためられる人もいます)があり、膀胱が充満した状態で、尿をためておける限界を超えて、本人の意思に関わらず、少しずつ尿が漏れる状態です。

頻尿、残尿感を伴うこともあります。下腹部を触ると、尿がたくさんたまりぱんぱんになった膀胱を触れます。尿もれによる下着の汚れや臭いで気づくこともあります。

溢流性尿失禁の原因は何ですか?

1)下部尿路閉塞:前立腺肥大症、尿道結石、尿道狭窄、前立腺癌(進行した時に)など

2)排尿筋収縮力低下:神経因性膀胱(直腸癌や子宮癌の手術後など)、筋疾患、薬剤によるもの

膀胱がぱんぱんに(尿がたくさんたまり)なると、腎臓も腫れてきて、経過が長いと腎機能が障害されます。

溢流性尿失禁ではどんな問診をしますか?

脳血管障害、脊髄疾患、糖尿病などの神経因性膀胱と関係する既往歴を聞きます。薬剤などによる副作用に関しても、風邪薬、抗コリン剤、抗アレルギー剤などの服用の有無を聞きます。前立腺肥大症では長時間の座位、飲酒、時には咳止め薬、感冒薬、精神安定剤、不整脈のくすりなどが誘因となり尿閉が起こることがあります。

溢流性尿失禁ではどんな視診・触診をしますか?

下腹部が膨隆しているのを確認します。前立腺の大きさを触知します。

溢流性尿失禁ではどんな検査をしますか?

超音波検査

前立腺肥大症などの有無、水腎症の有無を診ます。

溢流性尿失禁の治療はどうしますか?

尿道カテーテルなどを留置して、尿閉を解除します。両側の水腎症がある人では、尿閉解除後に利尿がついて補液が必要となることもあります。

その後尿道カテーテルなどの抜去を試みます。カテーテル抜去後、おしっこが出ない人は間欠導尿を行います。自分や家族の方が間欠導尿を行えないときは留置カテーテルになります。留置カテーテルが長期になる場合は、膀胱瘻などになる事があります。

原疾患の治療を行います。例えば前立腺肥大症の手術などです。

*間欠導尿とは膀胱に溜まった尿を一定の時間ごとに尿道口からカテーテル(管)を挿入して体の外に排出する方法です。残尿量が100ml以下になったときは、間欠導尿は終了となります。

神経因性膀胱とはどのようなものですか?

神経因性膀胱とは脳・脊髄の中枢神経、あるいは脊髄から膀胱に至るまでの末梢神経の様々な病気により、膀胱や尿道の働きが障害され、排尿障害をきたす病気の総称です。脳の病気では脳出血、脳梗塞など、脊髄の病気では椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、末梢神経障害では直腸癌・子宮癌手術後などがあります。糖尿病による下部尿路機能障害は、いわゆる膀胱知覚および運動機能を調整する自律神経障害に起因するもの以外に、高浸透圧多尿に伴う尿路上皮や排尿筋の変化,中枢神経系の障害なども要因となります。

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