尿閉 (たまっているのに、おしっこがでない)-大和クリニック-木更津市の泌尿器科
尿閉 とはどんな状態ですか?
尿閉 とは膀胱内に尿が貯留しているのに、排尿できない状態です。
尿が腎臓で作られない、または少量しか作られないために排尿がみられない状態である無尿や乏尿と鑑別しなければいけません。尿閉は突然起こる急性尿閉と残尿量が徐々に増加して起こる慢性尿閉とに分けられます。また、まったく排尿できない完全尿閉と、残尿が多いが一部排尿できる不完全尿閉とに分類することもあります。
尿閉 となるシチュエーションにはどのようなものがありますか?
よくあるシチュエーションは寒い冬の日に、大酒を飲んだ後、おしっこが出なくて、苦しい。風邪薬を飲んだ後、おしっこが出なくなり苦しいと言うような状況です。
尿閉 はどんな方に多いですか?
急性の尿閉は高齢男性に多いです。強い尿意があり、苦痛で、冷や汗が出ることもあります。下腹部が明らかに膨らんで見えることがほとんどです。やせている人の場合、わかりにくいですが、触ると膀胱に尿がたくさんたまり下腹部がぱんぱんに腫れています。多いのは前立腺肥大症の方が寒い日にたくさんお酒を飲んだ場合(前立腺尿道の急性浮腫および尿道排尿筋の活動低下によると考えられている)や、抗ヒスタミン薬を含む総合感冒薬を服用した場合にみられます。
慢性尿閉では、徐々に下部尿路閉塞が進行し、それに伴って残尿が多くなり膀胱に尿がたくさんたまり、尿意は感じなくなって尿が少しずつ漏れる状態になります。この尿漏れは奇異性または溢流性尿失禁とよばれます。放置すると上部尿路内圧が上昇し、腎臓がふくらみ、その後腎不全になる場合があります。
尿閉 の2大原因とはどのようなものですか?
1)前立腺肥大症による下部尿路閉塞—尿意がある場合が多いです。
2)末梢神経障害による神経因性膀胱—尿意がない場合が多いです。
その他の原因にはどのようなものがありますか?
尿道結石、尿道腫瘍、尿道狭窄、膀胱(頚部)腫瘍、陰茎癌、真性包茎などです。
また薬剤の副作用によるものがあります。膀胱利尿筋の収縮力を減弱させる薬剤(副交感神経遮断薬,平滑筋抑制薬,βアドレナリン刺激薬)や膀胱出口の圧を高める薬(αアドレナリン刺激薬やβアドレナリン遮断薬)があります。もっとも多いのは、副交感神経遮断作用の強い胃腸薬と複合感冒薬中の抗ヒスタミン薬や解熱・鎮痛薬です。薬剤により尿閉を来しやすい病気には前立腺肥大症、尿道狭窄、神経因性膀胱、加齢などがあります。
また手術後の方で、麻酔の影響や手術自体の影響で、尿閉になる方もいます。
尿閉 なのに、尿が漏れることがありますか?
残尿が徐々に増加し尿閉となった慢性尿閉では、苦痛は少なく、尿意は感じなくなっており
(軽度感じていることもあります)尿が少しずつ漏れる溢流性尿失禁や両側水腎症を来している場合が多いです。
帯状疱疹でも 尿閉 は起こりますか?
帯状疱疹でも排尿障害、尿閉が起こる事があります。特におしりのあたり(仙随領域)の帯状疱疹で起こりやすいです。発疹が出る前に起こることもあります。
*帯状疱疹とは神経に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化することで発症する皮膚疾患です。ピリピリ、ズキズキといった神経痛が出て、1週間程度で痛みがある部分に発疹が見られるようになります。通常片側に出るのが特徴で、痛みを伴う皮膚症状が3週間程継続します。
尿閉 の治療はどうするのですか?
治療:早急に導尿(カテーテルの挿入・留置を行って尿を体外に排出すること)を行います。原因疾患の治療をします。
*カテーテルとは体内に挿入して、検査や治療などを行うための柔らかい細い管のことです。
尿閉 を起こす神経因性膀胱とはどういうものですか?
神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)は、脳・脊髄の中枢神経、あるいは脊髄から膀胱に至るまでの末梢神経の様々な病気により、膀胱や尿道の働きが障害され、排尿障害をきたす病気の総称です。脳の病気では、脳出血、脳梗塞など、脊髄の病気では椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、末梢神経障害では、直腸癌・子宮癌手術後などがあります。