納豆アレルギー サーファーとの関係は?-大和クリニック-木更津市の皮膚科
納豆嫌いの方には、あまり関係ないかもしれません。
納豆アレルギーの原因は何ですか?怖い点はどういう所ですか?
納豆アレルギーの原因は、納豆の粘稠物質(ねばねばした状態)の中にあるポリガンマグルタミン酸だと考えられています。納豆アレルギーは遅発性(接種後5~14時間して)にじんましん、アナフィラキシーなどを起こしますが、腸管でポリガンマグルタミン酸が分解され吸収されるまでに時間がかかるためだと考えられています。食べてすぐじんましんが起きれば(通常は2時間以内)、食べたものが原因かと思いつきますが、5時間以上たってじんましんが出ても、納豆が原因とはなかなかご本人は気づきません。意識消失を伴うアナフィラキシーショックを生じやすいです。横浜市立大学の猪又直子先生が、納豆アレルギーの患者さんを調べたところ、約8割の患者さんがマリンスポーツなど、海に長時間いる習慣があることがわかりました。
なぜサーファーの人は危険なのですか?
クラゲの刺胞中に含まれているポリガンマグルタミン酸は、クラゲが人を刺した際の毒液とともに注入されます。クラゲに何回もさされる危険があるサーファーの人が納豆好きだったら、納豆アレルギーが起きるかもしれません。サーフィン中に起こると大変です。
納豆アレルギーの起こる食品などはどういうものですか?
もちろん納豆だけでも、またポリガンマグルタミン酸が含まれる人工調味料、減塩製品、冷凍食品、サプリメント、医薬品、化粧品、シャンプー、コンディショナー、白髪染め、オムツ、ぬれティシューなどを良く使用する人には、納豆アレルギーが起きるかもしれません。成分表示のポリガンマグルタミン酸、ポリグルタミン酸、γ-PGAなどに気を配る必要があります。
納豆アレルギー診断の重要なポイントは何ですか?
食物日誌(半日前までさかのぼって納豆摂取の有無を確認)をつけることが重要です。運動や胃腸炎などの腸管粘膜障害により、納豆を食べてから発症までの時間が短縮することがあります。
じんましん、腹痛、下痢、喘鳴、呼吸困難、意識消失など多くはアナフィラキシーに進展し、ショックに至る重篤なアレルギーです。
約8割はサーフィンなどマリンスポーツ歴があります。
納豆アレルギーの検査はどうしますか?
・特異的IgE検査(主要アレルゲンであるポリガンマグルタミン酸の検査は市販化されていません)
・食物チャレンジテスト
・補助の検査として好塩基球活性化試験、ヒスタミン試験など
納豆アレルギーの治療はどうしますか?
・抗アレルギー薬
・気管拡張薬
・ステロイド薬
・アドレナリン自己注射製剤(エピペン®):アナフィラキシーが出現した場合アドレナリンを注射します。アナフィラキシーが起きたことがある患者様は、日常生活でアナフィラキシー反応が生じたときに自分で治療薬(アドレナリン)を注射するために、アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の処方を受けることが望ましいです。
*エピペンは、アナフィラキシーがあらわれたときに使用し、医師の治療を受けるまでの間、症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)です。
納豆アレルギーの予防はどうしますか?
納豆およびポリガンマグルタミン酸が含まれる製品に気をつけなければいけません。
*遅発性アナフィラキシーが起こるものとして納豆アレルギー(食べてから5時間~14時間)、獣肉アレルギー(食べてから数時間~6時間)が知られています。
*クラゲアレルギー
中華料理でクラゲを食べることやその加工食品を食べることでクラゲの食物アレルギーが起こります。原因はまだ定かでありませんが、一因としてポリガンマグルタミン酸があげられています。クラゲのアレルギーは食べることと刺されることで起きます。納豆アレルギーの人は、クラゲアレルギーを合併することがあります。納豆アレルギーとクラゲアレルギーの交差反応のリスクとなる生活背景として、マリンスポーツにおける海洋生物との経皮・経粘膜的接触があります。ポリガンマグルタミン酸がその背景の一因かも知れません。クラゲを食べた後、数分から2時間以内に即時型アレルギー(納豆アレルギーは遅発型)が発症することが多いそうです。